2.無届け老人ホームについて

最近、新規(?)の無届けホームを知る機会がありましたので、本問題に触れておきます。老人福祉法第29条にあるとおり、有料老人ホームに該当するホームには届出義務があります。意外と知られていませんが、ちゃんと罰則規定もあります。

 

第二十九条  有料老人ホーム(老人を入居させ、入浴、排せつ若しくは食事の介護、食事の提供又はその他の日常生活上必要な便宜であって厚生労働省令で定めるもの(以下「介護等」という。)の供与(中略)をする事業を行う施設であって、老人福祉施設、認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居その他厚生労働省令で定める施設でないものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は、あらかじめ、その施設を設置しようとする地の都道府県知事に、次の各号に掲げる事項を届け出なければならない。

 

厚生労働省が今年発表した昨年度の無届けホームは1,650ヵ所と、全国のケアハウス数を僅かに下回る程度ですから、決して少なくはありません。さらに今年2月には、東京は練馬区の無届けホームが老人福祉法違反の疑いで書類送検されました。警察の摘発としては全国初のケースです。

 

無届けホームの歴史を遡ると、高齢者専用賃貸住宅制度の廃止が増加のきっかけのひとつでしょう。2005年に制度化された本住宅制度は、元々「高齢者の入居を拒まない」という緩い括りの中でルール化された制度でした。その後の面積要件の追加、現在のサービス付き高齢者向け住宅への制度移行に伴い、これらの基準に満たない一部のホームが無届けホームに流れました。制度上の正式な呼称が使用できないため、「高齢者集合住宅」「高齢者マンション」「宅老所」といった名称を標榜するケースが多いのが特徴です。運営事業者の方は、現在のサ高住のハード基準に満たない、あるいはより廉価な商品を作る場合は、基準不適格であっても住宅型有料老人ホームの届出を行うべきでしょう。

 

ところで、福岡の宅老所「よりあい」は地域密着型施設のお手本として業界では有名な事業所です。地域に根差した小規模施設の姿は、国が示す地域包括ケアシステムの理念に一番近く、ファンドの世界から最も遠い存在かもしれません。これらを違法と切り捨てるのは簡単ですし、悪意のある事業者には退場願いたいですが、利用者のニーズという点では直視すべき現実と思います。