5.超難関。介護と仕事の両立助成金の取得。

一億総活躍社会に盛り込まれた“介護離職ゼロ”を後押しするべく、平成28年度から「介護支援取組助成金」が新設されました。厚労省が作成した「介護離職を予防するための両立支援対応モデル」に基づく取組みで、労働者の仕事と介護の両立に関する取組みを行った事業主に助成する仕組みです。支給額は1企業1回のみで60万円。

この助成金が4月以降、東京だけでも月100件の申請があり、この手の助成金としては異例の申請ラッシュが起きたそうです。予算が尽きたら年度末を待たず、本助成金を終了すると言われていました。

助成金取得の手続きは比較的容易で、介護離職を防ぐための相談窓口(通常は人事部が多い)や、介護離職を防ぐための研修会を実施すれば、原則申請要件を満たします。介護休業・休暇制度を導入することも要件として盛り込まれていますが、育児・介護休業法で規定された内容であり、本法を上回る体制が求められているわけでもありません。以上のように、介護離職ゼロの社内基盤を整える上では、非常に取り組みやすい内容でした。

 

助成金とは関係なく、介護離職防止に積極的に取り組んでいる企業も存在します。昨年はゴールドマンサックスの日本法人が社員の家族1人当たり、年間100時間分の介護サービスを負担するとして注目を集めました。一方、介護離職防止を目的とした新たなビジネスの参入も見られます。老人ホーム事業者のベネッセグループのほか、あいおいニッセイ同和損保は今年7月より「仕事と介護の両立支援サービス」を立ち上げたばかりです。

 

さて、先ほどの助成金制度には続きがあります。実は6月24日から支給要件の大胆な見直しが行われました。前述の育児・介護休業法の規定を上回る制度導入が行われていること、さらに介護休業制度の利用率が時間外労働や年次休暇の取得率に影響するとして、これらの具体的な実績が申請要件に加わりました。果たして本法の規定以上の休業体制を導入できる企業がどれだけ存在するでしょうか。

 

僅か2ヵ月の間、取り組みを行えばほぼ全ての企業が取得可能だった助成金制度は、ほぼどの企業も取得ができないであろう狭き門に姿を変えました。申請要件のハードルを上げるのではなく、助成金額をもっと減額して、広く本制度を普及させる方がよっぽど意味があると思えて残念です。